Grass-fed Milk ってどんな牛乳?
前回に続き、読者の方からもご指摘いただいた草を食べて飼育された牛から搾った牛乳 (grass-fed milk)、バターなどの乳製品の話です。
牛乳も牛肉と同じように草を食べて育つ牛からのものは前回の牛肉と同じように栄養価が高いそうです。
- 心臓に良いオメガ3脂肪酸が多く含まれる
- 心臓病やがんの予防に役立つ共役リノール酸(conjugated linoleic acid)が多く含まれる
- ビタミンEが多く含まれる
- 心臓や骨に大事なビタミンK2を含む
- βカロチンが多く含まれる
上記の二つのブランドは私が住むオハイオ地元の牧場からの牛乳です。なるべく地元の農家を支持したいと私は思うので、できればこの二つのものを買うようにしています。
一つ目の牛乳はこちらの牧場からです。
http://hartzlerfamilydairy.com
ここの牛乳はビンに入っているのも私は気に入っています。買う時に$1.50のデポジットを払うことになっておりビンをお店に返すと$1.50返してくれます。
それが私が住む所に近いところにあるGiant Eagle(Perimeterです。すみません、ローカルな話題で。)というスーパーがあるのですが、そこはなぜかデポジットをとらないにもかかわらず空のビンを持っていくとお金を返してくれるので実質とても安いんです!他のGiant Eagleで買ったこともあるのですが、他の場所ではデポジットをとられたので、単なるシステムの間違いか、わざと消費を促すためにそうしているのか未だに不明です。
もう一つは
http://www.snowvillecreamery.com
こちらもオハイオ地元の牧場です。
どちらも同じようにとうもろこしや大豆を飼料とせず昔ながらの方法で牛を飼育していて牛乳の処理も似ています。牛乳の処理については二つ大きなものがあります。
- Homogenize(成分を均質化して脂肪分が分離しないようにする)
- Pasteurize(殺菌する)
上記の二つの牛乳はいずれも成分を均質化する処理をしていないので、放っておくと上にクリームがたまります。(ハーツラーはかなり固まるのでうちの子供達はビンを開けた最初は嫌がります。)
この均質化の処理ですが、これをすると大事な酵素が破壊され、脂肪分子が小さくなりすぎて、本来なら消化されるべきタンパク質がきちんと消化されずに血液に入っていき、体はそれに対して反応し自己免疫性の病気を引き起こす、とこちらに書いてあります。(http://health101.org/art_milk_cancer_fuel.htm)
もう一つの殺菌処理もアメリカでは3種類あって、最も一般的なのは超高温殺菌、Ultrapasteurizationというのもので高温で短時間殺菌します。高温なのでここで大事な細菌が死んでしまいます。でもそのお陰で牛乳は長持ちするわけです。よくアメリカで牛乳の賞味期限を見るとものすごく長いのでびっくりすることがありますが、それはこのせいです。パッケージにもよりますが最高70日持つそうです。
次は高温殺菌で上記の右側、スノウビル牧場の牛乳はこの処理です。こちらは99.9%の細菌が死んでしまいますが日持ちは16日から21日に激減します。
最後が低温殺菌でハーツラーのミルクはこちらです。この処理ですと牛乳の酵素や細菌が保存されるので栄養価も高く、体にきちんと吸収されます。
牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる、乳糖不耐症(lactose-intolerant)の人はハーツラーのようなミルクであれば大丈夫ということがあるようです。(ハーツラーのミルクは低温殺菌なのでラクターゼという酵素が生きていてその酵素が乳糖を分解してくれるから。)
ということで上記二つのブランドは均質化の処理はせず、殺菌処理も普通より弱いので栄養が維持されていることになります。
ヨーグルトはまた色々話が複雑になりますが、スノウビルの方ではこのようなヨーグルトも販売していまして、私はおいしいと思います。他にも何種類かありますしサワークリームとかもあったかと思います。
バターもハーツラーは販売しています。他にも中西部ではアーミッシュと言われる宗派に属する人たちが作っているものがあって、Roll Butterとして2ポンドくらいとかなり大きな塊で売っていますが、昔ながらの方法で製造されているのでおいしいと思います。Roll Butter とはこういう形で売っているもののことです。(左下の写真。)普通のスーパーでも見かけることがあります。
右上の写真のバターはアイルランドのものですが、これはヘルス志向の人たちの間でも定評のあるバターです。こちらは輸入物ですからおそらく全国ブランドでどこでも買えるかと思いますが私の地域ではTrade Joe’sが一番安いです。
またローカルになりますがインディアナポリスには近郊にTrader’s Point Creameryという牧場・農場がありここもおいしいものを作っています。
http://www.traderspointcreamery.com
乳製品だけでなくお肉もありますし、ファーマーズマーケットもやっていたと思います。少し料金は高めですがレストランもあるので農場を見がてら観光にもなります。
インディアナではOberweis(オーバーワイス、http://oberweis.com/web/default.asp)というところの牛乳を週に一回配達購入していました。ここのミルクもガラスのビンに入っていて私は他のものよりおいしいと思いました。一定地域(イリノイ、インディアナ、ウィスコンシン、ミズーリ、ミシガン、バージニア)しか配達はしていないので皆様のお住まいの地域はどうかわかりませんが、インディアナではターゲットなどのお店でも販売していました。
ということで、非常にローカル、インディアナポリスとオハイオ州コロンバス地域の話になりましたが、全国的にこういう農家・牧場はあると思いますので、皆様もお住まいの地域で探してみてください。
私も昔は有機ならいいのかと思ってよくお店で目にするこのブランド(https://www.horizondairy.com)のものを買っていましたが、どうも味もそれほどおいしくないし、賞味期限があまりに長いのでなんでだろう?と疑問を持ち出したのが色々と他を探すきっかけになりました。普通のミルクよりは有機であれば安心かな、と思いますし、実際生クリームはおいしいと思いますが牛乳はこの有機より上記に紹介したところのものの方が断然おいしいと思います。
他にも全国的ブランドではOrganic Valley(http://www.organicvalley.coop)もありますね。
乳製品といえばチーズもありますが、とりあえず今回は草を食べた牛からの牛乳の紹介でした。
こちらのサイトにかなり詳しくgrass-fed milkについて書いてあるので興味のある方は読んでみてください。(この中にアメリカ全土にわたり零細で自然な方法で営まれている農場の検索ができるリンクもあります。)
http://www.whfoods.com/genpage.php?tname=foodspice&dbid=130
アメリカは子供も2歳くらいなるとWhole Milk(成分無調整)はやめて脂肪分2%や1%、無脂肪乳にしろと言われるくらいですが、それに比べると日本の牛乳はかなり濃いと思いますね。日本の牛乳の均質化、殺菌の処理についてはまだ調べていませんが、アメリカとは違うことは間違いないでしょう。味からしておいしいですし賞味期限が何ヶ月とかいうことは見たことありませんから。