Implosion と Explosion の違い
本日既に7月1日。長い間投稿を怠っていました!!
6月は2週間弱日本に行っていまして、その時にタイタニックの残骸を見学に行った潜水艦が事故を起こし乗船していた5人が即死してしまうという恐ろしい事故が起こりました。
このニュースにつき日本語で聞きなれない「爆縮」という言葉が使われて報道されていて、その英語は?と思うと日本語ほど珍しくない “implosion” という言葉が使われていることがわかりました。
このように日本語は状況に応じて特定の言葉があり、一方英語は一般的な言葉を使う、ということがよくあります。今即座に例が思い浮かびませんが、製造関係の言葉で私はこれまで聞いたことのない日本語の言葉を沢山学びましたが、対応する英語は一般の言葉、ということが多々あります。
あまり深く考えずにニュースを聞くと海底奥深くまで潜って行き水圧が高くなり潜水艦が破裂してしまったんだな、という風に理解すると思います。
それで正しい理解なのですが、どのように破裂したか、というところで “explosion” と “implosion” の違いが出てきます。
“Ex” が頭につくと 「外」「出る」というような意味になります。
- Exit:出口
- Expatriat:外に出ていくということで例えば企業で外国に派遣される駐在のことを言いますが、expatriate で国外追放、国籍離脱、などの意味にもなります。
- Extend:伸ばす、延長する、ですが外の方に差し出す、ということです。
- Exclude:外に出す、ということで除外する。
などです。
一方 この場合の “Im” は本来 “In” で「内」「中」という意味を表すものが次に来る音が “p” のため “Im” になったものです。
- Interior:内装、内側
- Influx:流れ込むこと
- Inhale:吸い込むこと
- Immigrate:他国に入ること、移住すること
などです。
なお、”im” の接頭語は否定の意味にもなるので必ずしも「中」という意味ではないことは注意する必要があります。
- Immature:matureでない、つまり未熟な、子供っぽい
- Imperfect:perfect でない、つまり不完全な
- Impatient:patientでない、つまり我慢できない、性急な、等
“Implosion” の “Im” は内側に、ということで “Explosion” が中から外に向けて爆発するのに対し、”Implosion” は外から中に向けて破壊することを言います。
こちらに言葉としての詳しい説明がありますが、やはり “implosion” は内向きに破壊すると書いてあります。建物の解体の場合、建物の中の構造部分が破壊されるように装置を置き、あとは中から建物自体が破壊されていく場合の説明があり、”implosion” は管理された破壊によく使われ、”explosion” は暴力的な破壊と書いてあります。
より科学的な説明はこちらにあります。”Explosion” が物体が細かくなり外向きに出ていくのに対し、”implosion” は外でなく内向きに崩壊するとあります。
以上、英語では簡単な言葉が日本語では「爆縮」という珍しい言葉になるというのは良い勉強になりました。辞書では「内破」「爆壊」などの言葉も出てきますが、今回の事件では「爆縮」という日本語が適当なのだと思われます。難しいですね。
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