Rush – 大学寮の選考会
今日は私がこの半年から一年くらいの間に学んだ “Rush” という言葉についてです。
Rush と聞けば Merriam-Webster の辞書にありますように、「急ぐ」という感じの意味しか思いませんよね。
I rushed to the hospital as a neighbor of my mom called me to tell me that she was taken to the hospital. (母の近所の人が電話をくれて母が病院に運ばれたと言うので病院へ急いでかけつけた。)
これは動詞としての例ですが、名詞ですと
I placed a rush order of flowers for my party. (パーティ用に花を緊急で発注した。)
というように急ぐ意味になります。
19世紀半ばのカリフォルニアのゴールドラッシュ(California Gold Rush)もこの同じ “rush”ですね。多くの人がカリフォルニアへ向けて移動したことを表しています。
しかし、上記のMerriam-Webster辞書には載ってない意味があって、dictionary.com の一番下、27番に
the rushing by a sorority or fraternityというのがありますが、これです。
Oxford 辞書にはもう少し詳しく出ていました。(in colleges というところの 7番、8番を見てください。)
[transitive, intransitive] rush (something) to go through the process of joining a fraternity or sorority
He’s deciding whether to rush a fraternity. She plans to rush in January.
[transitive] rush somebody to give a lot of attention to a student because you want them to join your fraternity or sorority
He is being rushed by Sigma Nu.
大学にある男子寮、女子寮のことをフラタニティ、ソロリティと言いますが、上記の例文にありますように「シグマ・ニュー」などギリシャ文字の名前がついています。
大学によってその数は色々なんでしょうが、たくさんあるその寮の一つに入るための選考があり、それを “rush” と言い、それに参加することを “to rush” と言うんです。
私は全く知らなかったので、娘の友達のお母さんたちと話をしていて
“Is Mira going to rush?”
と聞かれてもえ、何のことですか?という感じでした。
そしてこれが非常に大変なプロセスでした。なぜかわかりませんがアメリカ南部の方がこのソロリティ、フラタニティは大きいらしく、入りたくても入れない人がたくさんいるそうです。テネシー大学へ行った友達の娘さんは数百人のところに2千人の女の子が rush に参加したそうです。
娘の大学では14個(個と言いますかね?軒ですか?)の女子寮(ソロリティ)があり、800人程の女子生徒が参加したようです。
最初は女子生徒を何人くらいでしょうか、10人程度なんでしょうかね、グループに分けてそのグループで各ソロリティを規定された時間に回ります。そこで今の在校生の人たちと色々話をして、在校生の人たちは新入生がその寮に合っているかを色々な質問をしながら評価し、新入生もどの寮がいいのか評価をします。
14個のうち、新入生は初日に回った中から行きたくない寮を4つ選びます。(つまり初日終了後最高10軒に減ります。)在校生の方もこの子はいらない、と評価をします。新入生が行きたくても、ソロリティがいらない、と言った場合はそこでその寮は終わりになってしまいます。そのようにして入る可能性のある寮の数が減っていきます。
毎回、テーマがあって、それに合わせた服装をしてアピールするらしいです。
そのような過程を何度か経て、最終的に二つのソロリティが各自残ります。(もちろんこの過程ですべてのソロリティから蹴られてしまうこともあり得ると私は認識しています。)
最後に二つのソロリティに行って、最終的にどちらも判断をし、新入生と在校生の判断が合致するとそこへ入れることになります。
この仕組みはよくわからないのですが、もし新入生がAのソロリティを一番に選んだのにAはその新入生をいらない、と言った場合は自動的にBに入れるようです。
うちの娘は無事に Chi Omega(ΧΩ)というソロリティに入れました。最初からそこのお姉さんたちと一番気が合ったらしく、一緒に回るうちに仲良くなった子達ともそこがいいと思っていたらしいので本当に運が良かったと思います。
私、個人的にはなんでもいいので、本人がよければどこでも良かったのですが、喜んでいたので良かったと思っています。
フラタニティ、ソロリティは入ると、”initiation” と言って入会の儀式のようなものがあり、そこで特に男子ですが、お酒をたくさん飲まされて新入生が死亡してしまった事件があったりして問題になっている”hazing” という行為があります。ですから、私は少し心配しているのですが、女子の方はそういう過剰な儀式があることはないそうです。
ソロリティでは4つの B について話すことは禁じられている、ということです。4つのB とは
- Booze (お酒)
- Bible(宗教)
- Biden(政治)
- Boys(男性)
基本、philanthropy(慈善活動)がメインのようでソロリティで行う行事を通じて生涯の友達を作る、ということなんでしょうか。
このようにフラタニティ、ソロリティに入ることを “Greek life” と言います。Wikipediaに色々書いてあるので興味のある方、歴史など見てみてください。
私が推測するに、こういうことをしたい人としたくない人は最初から分かれていると思います。うちの長女は社交好きなので Greek life が大学を選択する上で大きな要因になっていましたが、知り合いの中には学生時代全く興味がなかった人もたくさんいますし、娘の友達でもやりたくない人もいるので、個人差でしょうね。
私がアメリカで大学生をしていたらきっと入らなかったと思います。
しかし、この “Rush” をすることでたくさん友達ができたらしいので、最終的に入る意図がなくても皆やったらいいと娘は言っていました。
ということで長くなりましたが私が学んだ新しい言葉を紹介しました。本当にいつも思うことですが、自分が関わりのない分野では知らないことが山ほどあります。よくこんなに知らないことがたくさんあるものだと感心しますが、考えてみれば自分が知っていることなんて氷山の一角なんだろうなと思います。
一生学びということですね。
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